T)プロフェッション法(職能法)
その他の特徴は,3つの職業すべてに固有のプロフェッション法(職能法)があることです。弁護士の場合、弁護士法です。
まず,プロフェッション法は,誰もがプロフェッションになれるわけではないと定めています。
本来,国の根本を定める憲法は,職業選択の自由を保障していますが,プロフェッション法はプロフェッションという職業に就く(を自由に選択する)ことを規制しているのです。
このことは,憲法的には,「職業に就く(を自由に選択する)ことを規制したほうが,規制しないよりも,規制することにより得られる利益が上回り,公共の福祉に資する,そのために規制が許される」と説明できます。
ここでいう利益とは,弁護士の場合,「自由と正義」にほかなりません。
逆にいうと,自由に弁護士に就けるとなると,「自由と正義」が守れず,得られる利益が下回り,公共の福祉に反すると考えられているのです。
次に,プロフェッション法は,プロフェッションという職業を保護する側面もあります。
ただし,これは最低限度の保護にすぎず,決して優遇措置ではありません。
一定程度の保護が,かえって,全国民の「自由と正義」を守ると考えられているのです。
他方,その見返りに,プロフェッション法は,プロフェッションに対し,義務を課し,倫理も強制しています。
具体的には,プロフェッションには,その職業人すべてが所属する組織団体を結成し,自主的に倫理を守るものとされるのです(上記ミラーソンのまとめた共通要件のうちのC倫理感とE組織団体)。
弁護士でいえば,日本弁護士連合会に所属し,倫理を守るよう,弁護士倫理規程という自主的な定めがあるのです。
U)類似用語との区別
・プロフェッションの日本語訳
「専門職」「職業」「職能」などがありますが,いまだ本来の意味を十分に表しているとはいえず,定着していません。むしろ,和製英語として,端的に「プロフェッション」と使うことが多くなっています。
・プロフェッショナル
アマチュアの対義語として有償の仕事に従事するという意味(必ずしもプロフェッションに包含されない)や,ある領域の職業を深く研鑽した者という意味(プロフェッションに包含されますが,イコールの関係ではない)があります。
・スペシャリスト
ゼネラリストとの対語で,ある一つの職務に精通している者を意味します。必ずしも職業人をさすわけではない点などがプロフェッションと異なります。
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